運営管理の勉強方法/1次試験
中小企業診断士の1次試験科目「運営管理」の出題範囲や勉強方法、学習のコツについて解説します。
運営管理では、生産管理と店舗・販売管理を中心に出題がされます。
生産管理については、工場を中心とした生産の手法が中心となるため、とっつきづらい方も多いかと思います。一方、店舗・販売管理については、身近な商業施設のレイアウトなど、生活にも関連するテーマが多いため、イメージをもって勉強しやすい科目です。
運営管理では何を学べるのか、どのように勉強すべきなのか詳しく紹介していきましょう。
運営管理とは?
科目設置の目的
中小企業の経営において、工場や店舗における生産や販売に係る運営管理は大きな位置を占めており、また、近年の情報通信技術の進展により情報システムを活用した効率的な事業運営に係るコンサルティングニーズも高まっている。
このため、生産に関わるオペレーションの管理や小売業・卸売業・サービス業のオペレーションの管理に関する全般的な知識について、以下の内容を中心に判定する。
運営管理の配点
運営管理は中小企業診断士の1次試験の一つの科目で700点のうち100点を占めます。
1次科目 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
運営管理の出題範囲
- 生産管理概論
- 生産のプラニング
- 生産のオペレーション
- 店舗・商業集積
- 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
- 商品補充・物流
- 流通情報システム
上記が、試験要項に記載されている「運営管理(オペレーション・マネジメント)」の出題範囲です。
大きく分けて、生産管理と店舗・販売管理といった2つのテーマを学びます。工場レイアウト・生産方式といった生産管理理論から、店舗での発注管理やPOSシステムまで生産から販売まで幅広い分野から出題されます。
運営管理の難易度と傾向(概要)
運営管理は、試験時間が長く出題問数も多いため、奇問・難問が出題されても得点に大きく影響をしないこと、また、知識を問う設問が多いことから、学習量が得点に比例しやすい科目であることから、得点源とする受験生が多いです。
一方で科目合格の割合については、基本的には10%台後半で推移しておりますが、29年度には科目合格率が3%にまで落ち込むこともあり、油断はできない科目です。
運営管理を学習すると身につく知識
運営管理は、生産管理と店舗・販売管理が中心の科目です。
生産管理で学ぶ知識
中小企業診断士が製造工程を持つ中小企業に対しコンサルティングを行うにあたって必要となる知識を学習します。
生産のための基本的な考え方と計画策定・品質管理の方法に関する知識を学ぶことで、中小企業の工場運営に関する相談に対して対応できる基礎知識を得ることができます。
店舗・販売管理で学ぶ知識
中小企業診断士が商業施設等にコンサルティングを行うにあたって必要となる知識を学習します。
店舗レイアウトや商品陳列の方法についての知識を学ぶことで、中小企業の店舗運営に関する相談に対応するための基礎知識を得ることができます。
運営管理の基本教材
独学で勉強する場合かつ、まだ教材を選んでいない場合であれば、大手資格学校TACが出版している中小企業診断士の1次試験向けの教材が無難です。
TACの通学講座・通信講座で用いられている教材とほぼ同じ市販教材なのです。
テキスト
1次試験に必要な基礎知識が詰まったテキストです。
問題集
1次本試験や模試、答練試験で出題された過去問の中から、重要かつ良問だけを抜粋し、論点毎にまとめられた問題集です。
過去問集
中小企業診断士1次試験で出題された過去5年分の過去問と、解答解説がまとまった過去問集です。
運営管理の勉強方法
運営管理は企業経営理論などと同様に知識を問う科目が多いことから、基本的には暗記系の勉強がメインになります。
一方で、いくつかの論点については、計算を行うことが必要となり、計算系問題の対策は必須です。
ただし、頻出する計算問題はおおよそ決まっているため、基本的な計算方法をおさえ何度も計算をし直すことで定着化を図ることが重要です。
初期
初期に行うべきことは、出題傾向の把握と各テーマの体系的な理解です。出題傾向の把握においては一次試験の過去問を活用することが重要となります。
運営管理試験では、重要な論点については過去何度も出題される傾向があり、過去問を使うことで、その出題傾向のイメージをつかんでおくことで、その後の学習においても効率的なインプットが可能となります。
体系的な理解については、資格試験予備校等を活用することが有効です。運営管理の論点は、細かな暗記に力をさかれてしまうことが多く、また最終的に細かな点についての記憶がきわめて重要となるのですが、その前に体系的な理解をしてから記憶を行うことでその効率が飛躍的にあがります。従って、暗記をする前に体系的な理解が必要です。
なお、生産管理は2次試験でも出題される科目であるため、最終的にはその言葉の意味だけではなく、実際の使い方なども意識をしておく必要があります。
中盤
中盤以降の勉強方法については、知識定着化が重要です。
運営管理試験では、知識を問う問題が多くまた、その論点は非常に細かい論点となりますので、体系的な学習を終え理解した論点については細かな部分までの記憶が必要です。
例えば、生産管理ではインダストリアルエンジニアリングで登場する記号の意味など細かなところまで出題されることが特徴ですので、それらに答えられるよう、教科書を繰り返し暗記することが重要です。
また、生産管理では、インダストリアルエンジニアリング・生産計画・工場レイアウト等の分野が2次試験に出題されるため、その知識の定着化は必須といえます。
仕上げ段階
仕上げ段階で行うべきことは、暗記された内容の確認と計算問題への対応方法の確立です。
値入率やGMROIなどの問題は頻出する論点であるため、どのような形で主題されても回答ができるよう過去問・演習を複数回行うとともに、毎年5月頃に行われる模試等も入手し、計算問題に対する対応方法を身につけておくことが重要です。
運営管理の勉強のコツ
運絵管理は暗記すべき論点が多く、また2次試験の出題範囲とも重なるため多くの資格試験予備校では、序盤に講義が始まる科目です。
従って、ライバルとなる受講生も暗記に力を入れていることが多く、相対的な学習量が問われる試験となります。また、問題の特徴としてテーマがまたがる設問も多いことが特徴です。
例えば、店舗レイアウトや設置する什器や照明等の問題が一緒に出題されます。ですので、体系的な理解が進んでいるかどうかが鍵となります。
頻出項目(頻出論点)
- 生産方式
- 工場レイアウト
- VE/IE
- 生産スケジューリング・プロジェクトスケジューリング
- 需要予測
- 店舗レイアウト
- GMROI・交差比率
- まちづくり三法
意外と重要な論点
近年Webマーケティング関係の問題が多く出るようになっているためこうした問題に関しても対応できるよう準備が必要です。
また、昨年度から計算問題の難易度が高くなっているため、計算のマスターが必須です。
運営管理が苦手な方
基本テキスト、問題集、過去問の3点セットを用いて、しっかりと勉強することで1次試験に合格できるレベルには達します。
ただし、得意不得意は誰にでもあります。運営管理の場合、生産管理と店舗運営管理の2つの論点に大きく分かれます。
店舗運営管理は誰もが身近でありイメージしやすい一方で、生産管理は非常にイメージしにくい分野です。そういう方は、以下の書籍で一気に復習してみましょう。
予備知識がない方向けに執筆されているため、非常にわかりやすいです。著者が中小企業診断士であることからも試験対策本としても有効です。
どうしても苦手を克服できない場合の対策
ネットで調べると1次試験は簡単に合格できる、とか、1年ストレートで合格しました!という情報がたくさんありますが、中小企業診断士試験の難易度は決して低くありません。
複数年受験を覚悟し、科目合格制度も上手く活用し、苦手科目も一歩一歩落ち着いてコマを進めることも大切です。
いやいや、手っ取り早く苦手科目を克服して、なるべく早く中小企業診断士になりたい!という場合は、独学にこだわり過ぎる必要はないと思います。
たとえば、中小企業診断士の1次試験対策講座ではもっとも有名かつ安定性のある「資格の学校TAC」のWeb講座を受講するのも一つの手段です。
7科目受講すると20万円以上しますが、1次単科生で運営管理のみ受講する場合であれば、4~5万円程度で受講することができます。
そのほか、「STUDYing(スタディング)」や「診断士ゼミナール」など、4~5万円程度で1次試験・2次試験対策ができる格安の通信講座もあります。
各講座の長所や短所は、以下の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。