2次試験対策/事例3の勉強方法(生産・技術)
2次試験の「事例3」の独学での勉強法について解説します。
事例3は「生産・技術」に関する問題です。他の事例に比べて、1次試験で学習した運営管理の知識が必要になります。
ライン生産方式、多能工、5Sなどの用語と意味をしっかり復習して臨みましょう。
この記事では、中小企業診断士2次試験の事例3の解き方のコツと勉強方法について紹介します。
事例3の試験対策
事例Ⅲは、生産・技術を中心とした経営分析・経営課題解決に関する事例です。
たとえば、競争が激化する中、取引先企業からコスト削減や短納期化の要請があった。こんな時、生産管理の視点から何をすべきか...などが問われます。
現在、生産計画はどのように立てているのか、生産工程はどのようになっているかを把握し、今後に向けた改善を考えなければなりません。
事例3では何を問われるのか?
事例3は「生産・技術」に関する問題です。事例企業としては、やはり製造業が多く出題されます。
生産現場を想像しながら回答を書くことが求められます。生産計画の見直しのタイミング、OEM製品との兼ね合い、生産拠点をどこにすればよいかなど、与件に散りばめられたヒントからベストと思われる回答を導き出します。
設問例
下記のように、市場特性について基本的理解力や分析力、クライアントの課題発見力や、中小企業診断士としての助言能力を問われます。
C社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を100 字以内で述べよ。
C社は、納期遅延の解消を目的に生産管理のIT化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120 字以内で述べよ。
C社の切削工程で問題視されている加工不良率の増加について、その改善を図るために必要な具体的対応策を 100 字以内で述べよ。
X 社からの業務の移管に対応するためには、C 社の生産計画や資材調達計画を今後どのように改革していくことが必要となるのか、160 字以内で述べよ。
事例3で出題される企業の課題(代表例)
- 歩留まりが悪くなってきている
- 生産リードタイムを短出したい
- 設計部などの他部署の連携がうまく行かない
- 製販調整がうまく行かず、在庫や欠品が多くなっている
過去問は、(一社)中小企業診断協会にて配布されていますので、ぜひ一度ご覧ください。
事例3の解き方(コツ)
与件は生産工程が書かれていたり、時系列がバラバラに記載されていたりします。
情報量が多いので、いかに早く整理できるかがカギとなります。また、回答も160字、200字など記述の量が多いです。
自分がどれくらいのスピードで書くことが出来るか把握して、時間配分に気をつけましょう。
与件文の読み方
事例3の与件は比較的読みやすいですが、情報が多いので整理することが大切です。
また、事例3もSWOT(強み、弱み、機会、脅威)について下線を引きながら読むことをお勧めします。特に強みは必ず聞かれると思います。残りの弱みなどは聞かれたり聞かれなかったりする印象です。
また、製造工程を記載していることがあり、イメージしながら読まなくて中々分かりにくいです。その製造工程に改善の可能性が含まれていることが多いです。
設問分の読み解き方
事例企業特有の問題について回答を書かせるものがある一方で、単純に用語の意味を聞かれる問題もあります。
例えば、「CAD/CAMの導入メリットは何か」という問題です。一見、CAD/CAMのメッリトを書けば良いように思われますが、あくまで事例企業にとってどんなメリットがあるかに結び付けなくてはなりません。
これを導入することで、事例企業の○○という課題や弱みを改善することが出来るなどまで書くに必要があります。
解答の書き方
事例3は、設問1で強みを聞かれることが多く、設問2以降は、200字など文字数が比較的多い傾向にあります。
私が過去問を解いて分析した限りでいうと、事例Ⅲはとにかくキーワードを多く入れたもん勝ちだと思います。迷ったら、設問に関係するキーワードをたくさん盛り込みましょう。
また、キーワードをどの設問で使えば良いか切り分けに迷うことがあると思います。そのような場合は、両方に入れて良いです。
大きく方向性が間違えていなければ減点になることはないと思います。(事例1は減点になる可能性もあるので気をつけましょう)
事例3の勉強方法
勉強の方法は、意外と1次試験の運営管理の復習が有効的です。キーワードをいかに盛り込むかが大切となるので、そもそもキーワードを知らないと書くことが出来ません。
TACなら、2次用にテキストを用意しています。
他の事例ではあまり使うことはできませんでしたが、事例Ⅲにとっては、必要なキーワードが整理されていて、復讐のために活用していました。
後は、ひたすら過去問を解きます。事例3だけを3年分連続して解くと、癖が分かってきます。
与件文チェック
与件は強みや弱みをしっかり拾えたかどうかが重要になってきます。お勧めは、勉強仲間と与件のどこに注目したかを意見交換すると良いです。
強み・弱みだけでなく、そのほかにも線を引いた部分があれば、なぜそこに線を引いたのか聞いてみてください。複数でやれば、どこが重要なのかが分かってきます。
また、SWOTに分けてキーワードを書き出す方もいましたが、時間が掛かるため、ご自身の時間配分のペースを考慮して、やり方を模索すると良いと思います。
使いまわしのきくフレーズ
運慶管理の用語は使うことが出来ます。また、標準化、適正化、一元管理などの用語は良く出てきたと思います。
1次試験の用語の中でも、製造工程の改善で良く意識していたのが改善4原則「ECRS」です。語呂合わせで「ないじゅか」と覚えました。
- 無くせないか(E:Eliminate 排除)
- 一緒にできないか(C:Combine 結合)
- 順番を入れ替えられないか(R:Rearrange 交換)
- 簡単にできないか(S:Simplify 簡素化)
この改善の順番も大切なので覚えておきましょう。この他にも基本的な多能工や5Sなどの用語とそれぞれのメリット・デメリットは整理しておきましょう。
設問分析
私が過去問を分析して分かってきたことは、1問目に強みや弱み(課題)などを聞かれることが多いです。そして、最終問題にその強みや弱みを絡めた回答を書くことが得点アップにつながるとおもいました。
例えば、「新規事業の留意点を述べよ」という場合、新規事業の特徴などを書くのはもちろんですが、「その企業の強みである○○を新規事業でも活用して」と書くだけで得点はアップすると思います。
是非、ご自身でも過去問を複数年度解いて見比べてください。そのようになっている年度が多いです。