中小企業診断士の仕事のやりがい (小規模企業支援編)

中小企業診断士の仕事のやりがい

これから試験勉強を始める方、検討している方は、「中小企業診断士ってそもそも何をする人?」「中小企業診断士の仕事のやりがいは?」など気になることも多いと多います。

 

この記事では、実際、中小企業診断士としてどういう支援をしているのか、何がやりがいか、具体的な事例を挙げて紹介したいと思います。

 

今回は、中小企業よりも小さい、小規模企業の支援のやりがいについてです。

 

小規模企業ならではの課題

 

中小企業の経営課題との違い

ゆみ

 

商店や美容室をイメージしてみてください!


 

小規模企業とは、法律上の定義を引くと、製造業その他では従業員数20人以下、商業・サービス業では5人以下の企業を指し、その数は325万社にのぼるといわれており、これは、全企業数の85.1%を指します。

 

従業員の数でイメージしていただけばわかりますように、一部のスタートアップを除けば、小規模企業の多くは、製造業では町の工場、商業・サービス業では、町の商店・美容室などが多い。

 

企業としての組織体があるところよりも、家族経営に近い形で運営されていることの方が多いのです。そもそも経営資源が足りていないため、ビジネスで必要となるインフラが用意できていないといった特徴があります。

 

一方で、規模が小さいために小回りがききスピーディーな意思決定ができることも特徴です。

 

こうした企業の経営課題としては、小規模であるがために、経営資源が不足しておりそれをどう補っていくかというもの。また、経営者が実際の商売を行うプレイヤーであることも多いので、社長の業務量軽減そのものといった相談を受けることもあります。

 

 

小規模企業ならではの支援の難しさ

小規模企業はその経営資源の少なさから、経営戦略の立案などの中長期的なテーマよりも、

 

  • すぐ効果の出る現場改善の指導
  • 資金繰りに関する助言
  • 補助金申請の支援

 

といったテーマが好まれる傾向にあります。

 

また、経営者が会社経営だけではなく、実際の商売、決算、税務、人事などを一人で行うケースもあるため、正しい助言であっても経営者にそれを担う余力がないと受け入れてもらえないことがあります。

 

たく

 

大企業、中小企業に比べて、さらに経営資源が少ないですからね。アプローチを変えないといけないのです。


 

そのため、中小企業診断士は中長期的な目線をもって企業を支援しつつも、現場にすぐに役に立つ支援策を提供し、場合によってはそれの実施を担う。という役回り、つまり参謀よりはむしろ右腕としての役回りを期待されることが多く、中小企業診断士によってはここに難しさを感じるようです。

 

 

 

 

小規模企業支援の事例

かず

 

では、実際に小規模企業の具体的な支援事例を紹介したいと思います


事例1:建設業の採用支援

従業員5名程度の建設業からの依頼です。この企業は、最近の好景気もあって、売上が順調に増加しており余力があるうちに人の採用と人材の育成を行いたいということでその方法について、相談がありました。

 

具体的にどのような支援をしたのか?

まず、人材採用に役に立つ助成金・補助金を紹介しました。

 

その際、社長が忙しく余力が残されていなかったため、実際の作成の支援から、また一部の業務については外注することを提案し、社長に経営に携わる時間が確保できるよう強く提案をしました。

 

また、ただ人材を採用するだけだと、入社してからのミスマッチが発生し離職してしまうため、今後の事業に関する計画を合わせて作成し、今後の会社拡大に応じた人材育成の方向性を策定しました。

 

ゆみ

 

人手が足らない=採用、という課題解決だけでなく、採用するための環境づくり、採用後の人材育成や計画など全体的に具体化して支援したりします。


 

 

事例2:宿泊業のIT支援

従業員3名程度の民宿からの依頼での支援を行ったことがあります。この民宿は、オーナーが料理の提供・接客などをおこなっていました。

 

ネット予約編の対応に遅れをとってしまい、新規顧客獲得のためにネット予約に対応したいというのがオーナーの依頼でした。

 

具体的にどのような支援をしたのか?

実際に話を聞いてみると、このオーナーは仕事上でメールを使ったことがなく、普段メールをみる習慣もないとのことでした。また、現在は顧客管理を紙で行っているとのこと。

 

また、そもそもの経営課題を深堀すると、オーナーが問題視しているのは顧客の減少であって、ネット顧客の未対応は一つの要因であることも分かったため方向性を変更することとしました。

 

当初から、ネット予約システムを活用するには、越えなければならならないハードルが多いため、そのファーストステップとして、業務でのメールの活用し、1月に一度メールマガジンを送付することとし、社長にはメールを業務で利用することに慣れていただきつつ、リピーターとの関係構築を行っていただきました。

 

その後、3か月程度たってから、本格的にネット予約対応に関して検討し、サイトをの選定を支援、ネット予約対応まで支援をしました。

 

ゆみ

 

現状を踏まえ、実行可能な計画にするのも、中小企業診断士の役割の一つだと思います。


 

 

 

中小企業診断士としてのやりがい

小規模企業支援における診断のやりがいとしては、①経営者から直接相談を受けることができる、②企業への貢献度が評価される、という点にあるかと思います。

 

経営者から直接相談を受けることができる

ある程度大きな企業からの依頼になると、直接社長と話す機会は少なく、また中規模企業になると、実行の段階では事務局等が設定され社長とのコミュニケーションをとる機会は少なくなります。

 

しかし、小規模企業の場合は、相談、実行いずれも経営者がその重責を担います。そのため、社長の悩みや本音、目線などを知ることができ大きな刺激を受けることができます。

 

たく

 

小規模企業のオーナーを見下す方も多いのですが、年収2000万円レベルの暮らしをしてる人結構多いですからね。節税対策で年収を低く見せてますが。


 

 

 

企業への貢献度が評価される

小規模企業が必要としているのは即効性があり実現可能な支援策であり、絵にかいた餅では意味がありません。どれだけ正しい戦略、プランであっても、実行できないものは意味がないのです。

 

また小規模企業の経営者に余力がないことが多いため、実際に実行の支援を行えば、その分経営者から感謝されます。もらえるのは「ありがとう!」という言葉かもしれませんが、本当に心がこもっています。

 

ゆみ

 

お礼に特別なサービスをしてくれたり、プレゼントしてくれたりするのも、小規模企業ならではかもしれません


 

 

どのように受託するのか

小規模企業の経営者から直接診断士に依頼があるケースは極めて少なく、多くは無料で使える経営支援の精度を利用することで診断士への業務を依頼します。

 

そのため、小規模企業の支援を行う診断士の多くが公的支援機関や金融機関に登録されている専門家であり、診断士はこうした公的機関からの依頼で小規模企業を支援しています。