中小企業診断士の難易度

中小企業診断士の難易度

ビジネスパーソンに人気の高い中小企業診断士の難易度について、詳しく紹介します。

 

試験合格までに1200時間~1500時間もの勉強時間が必要といわれ、難関国家資格に位置づけられている資格です。

 

その合格率は5%と言われたりしていますが、実際の受験者数と合格者数などを踏まえ、中小企業診断士の難易度について詳しく紹介します。

 

中小企業診断士の1次試験の合格率

 

中小企業診断士の1次試験は毎年1回8月に実施されます。詳しい試験制度については別の記事で紹介していますが、簡単に紹介しますと、以下のような試験科目です。

 

1次試験科目と配点

経営全般の基礎知識を問われるのが1次試験です。

 

1次試験科目試験時間配点
経済学・経済政策60分100点
財務・会計60分100点
企業経営理論60分100点
運営管理90分100点
経営法務60分100点
経営情報システム60分100点
中小企業経営・政策90分100点

 

1次試験の合格基準

7科目受験する場合、700点満点×6割=420点で1次試験合格となります。

 

ただし、1科目でも40点未満を取ると1次試験不合格となる足切り制度があるので注意が必要です。

 

  1. 第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
  2. 科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。

出典:中小企業診断士試験-一般社団法人 中小企業診断協会

 

7科目ある上に足切り基準もあるのは難易度高すぎる..と思うかもしれませんが、科目合格制度もありますので、働きながら資格取得を目指せる難易度です。

 

 

1次試験の合格率

中小企業診断士の1次試験の合格率は30%前後です。毎年16,000人前後が受験し、3,200人前後の方が合格しています。以前は、1次試験の合格率は20%強と言われていましたが、2019年以降、合格率は30%を超えています。

 

年度申込者数受験者数合格者数合格率
2006年16,59512,5422,79122.3%
2007年16,84512,7762,41818.9%
2008年17,93413,5643,17323.4%
2009年20,05415,0563,62924.1%
2010年21,30915,9222,53315.9%
2011年21,14515,8032,59016.4%
2012年20,21014,9813,51923.5%
2013年20,00514,2523,09421.7%
2014年19,53813,8053,20723.2%
2015年18,36113,1863,42626.0%
2016年19,44413,6052,40417.7%
2017年20,11814,3433,10621.7%
2018年20,11613,7733,23623.5%
2019年21,16317,3864,44430.2%
2020年20,16913,6225,00542.5%
2021年24,49518,6625,83936.4%

※受験者数は欠席した科目がひとつもない方(7科目受験者)の人数です。

 

ゆみ

 

申込者数に対して受験者数が少ないのは、科目合格者が一部科目だけを受験しているからです


 

科目数が多いため一通り勉強するのには時間はかかりますが、

 

  • 問われるのは基礎的な知識
  • 択一式のマークシート試験
  • 科目合格制度がある

 

という特徴があるので、コツコツと勉強を続けることができる方であれば、難易度はそこまで高くはありません。

 

かず

 

近年は、合格率が高いので、資格を取得するチャンスかもしれません


 

1次試験科目の詳細や勉強方法については、「1次試験の概要と試験対策」で紹介しているので、詳しくはそちらをご覧ください。

 

 

 

 

中小企業診断士の2次試験の合格率

中小企業診断士の2次試験は毎年1回10月に実施されます。

 

詳しい試験制度については別の記事で紹介していますが、簡単に紹介しますと、以下のような試験科目です。

 

2次試験科目と配点

2次試験は、中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定することを目的とし、中小企業の診断及び助言に関する能力を判定するために実施される試験です。

 

2次試験科目分野試験時間配点
事例1組織・人事80分100点
事例2マーケティング・流通80分100点
事例3生産・技術80分100点
事例4財務・会計80分100点

 

2次試験の合格基準

400点満点×6割=240点で2次試験(筆記試験)合格となります。

 

ただし、注意点があります。2次試験は模範解答が公表されません。そのため実際は、相対評価試験であるといわれており、成績の上位20%の方が2次試験に合格します。

 

第2次試験の合格基準は、筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がなく、口述試験における評定が60%以上であることを基準とします。
出典:中小企業診断士試験-一般社団法人 中小企業診断協会

 

2次試験は、記述試験と口述試験にわかれますが、10月に実施される記述試験に合格すると、口述試験は99%合格します。

 

 

2次試験の合格率

1次試験合格者のみが受験することのできる、2次試験の合格率は20%弱です。毎年4,000人強が受験し、900人前後が合格します。

 

年度申込者数受験者数合格者数合格率
2006年4,1314,01480520.1%
2007年4,0603,94779920.2%
2008年4,5434,41287519.8%
2009年5,4895,33195117.8%
2010年4,8964,73692519.5%
2011年4,1424,00379019.7%
2012年5,0324,8781,22025.0%
2013年5,0784,90791018.5%
2014年5,0584,8851,18524.3%
2015年5,1304,94194419.1%
2016年4,5394,39484219.2%
2017年4,4534,27983019.4%
2018年4,9784,81290618.8%
2019年6,1615,9661,08818.3%
2020年7,0826,4001,17418.4%

 

出典:一般社団法人中小企業診断協会

 

ゆみ

 

合格率だけをみると、さほど難易度は高くないように見えますが、受験者は全員1次試験を合格しています。
同じ合格率でも競争は激しく、合格難易度は高いです。


 

2次試験の合格基準をみると絶対評価のようにみえますが、中小企業診断士試験の2次試験は実質的に相対評価つまり競争試験だといわれています。

 

2次試験科目の詳細や勉強方法については、「2次試験の概要と試験対策」で紹介しているので、詳しくはそちらをご覧ください。

 

 

 

合格したからわかる中小企業診断士の実際の難易度

ここからは、統計データではわからない中小企業診断士の実際の難易度について紹介したいと思います。

 

合格したからこそわかる本当のの難易度ですね。執筆メンバーと知人の中小企業診断士の感覚的な難易度なので、一部主観が入ります。

 

大学偏差値に換算すると偏差値60~偏差値65

ゆみ

 

ねーねー、中小企業診断士の難易度を大学受験の偏差値で例えると、どれくらいだと思う?


 

かず

 

ざっくりいうと偏差値64~65くらい!早稲田大や慶応大ほど難しくはないけど、明治大学や青山学院よりは難しいくらいの難易度かな~


 

たく

 

国公立大学の偏差値60~63くらい!大学のセンター試験が診断士の1次試験という感じ。


 

中小企業診断士は合格すると人的ネットワークが広がります。

 

中小企業診断士同士で出身大学の話はしませんが、Facebookや公表しているプロフィールをみるといわゆる上位大学出身の方が多い傾向にあります。

 

中小企業診断士試験の難易度を大学の偏差値で例えると、おおむね偏差値60~65というイメージでよいと思います。

 

簡単ではないけれど、秀才でないと合格できない難易度でもない。努力して勉強を続けたら働きながらでも合格できる難易度です。

 

これまで資格の勉強をしたことがない人は、参考にしてみてください。

 

 

公認会計士、税理士などの難関資格保持者も受験している

 

ゆみ

 

中小企業診断士を受験している人って、ダブルライセンス狙いの人も多くないですか?


 

たく

 

たしかに、公認会計士、税理士を持ってる方もいますね。弁護士や社労士を持ってる方ともよく会いますねー


 

かず

 

法律だけじゃなくて、経営全般の知識を持っている証明になるからダブルライセンス狙いの方も多いのかもしれませんね


 

ゆみ

 

公認会計士や税理士さんは、財務会計で苦戦することがないから羨ましいなって思ってました(笑)


 

中小企業診断士試験において、合格への障壁の一つとして財務会計が挙げられます。

 

財務会計は一つの科目ですが、1次試験2次試験では簿記2級・簿記準1級の知識を求められるため、簿記初心者は苦労します。

 

その点、公認会計士や税理士はその手のプロなので難なく得点してくるため、相対評価となる2次試験では脅威になっています。

 

 

中小企業診断士合格までの勉強時間(目安)

 

資格予備校などでは、試験合格に必要な勉強時間は1000時間~1500時間といわれています。

 

 

ぼくは最初の年、1次試験と2次試験の対策で1200時間くらい費やしました。2次試験を落ちてもう一年勉強したから結果的に1600時間くらいでした。


 

たく

 

ぼくは運良く1年ストレートで合格できたから800時間くらいかな。年に1度の試験だから、2回受験すると1500時間近くになってしまうのかもしれませんね!


 

ゆみ

 

わたしは何度も受験してるから、2000時間以上勉強しましたが2次試験を突破できず。。養成課程に進みました。


 

中小企業診断士試験は、税理士や社労士といった専門的で深い知識は求められないものの、診断士1次試験では経営全般の知識が求められるため、幅広い科目を勉強しなければなりません。

 

また、2次試験は1次試験の択一のマークシート式の試験からガラリと変わり、事例企業の与件文を読み、設問に対して、指定された文字数で論述する試験になります。

 

1次試験では暗記力が必要で、2次試験では読む力と書く力が必要になります。こうした理由から、難易度が高くなっています。

 

 

1年で中小企業診断士に合格する人は5%未満

 

ゆみ

 

資格予備校で1年ストレート合格を目指そう!とうたわれてますが、実際1年で合格する方って何割くらいと思いますか?


 

かず

 

予備校に通ってた感じですが、1年ストレートした人はぼくを含めて50人中3人でした。予備校でそれなので、全体的には3~4%くらいかもしれないですね。1年合格の難易度は非常に高いと思います。


 

たく

 

二次試験の合格率が高いときで5%、合格率が低いときで3%くらいだと思います。1.5年ストレートで合格する人は結構いますが、1年未満での合格者は少ないですね。


 

ゆみ

 

6ケ月で合格した、8ケ月で合格したという知人もいますが、ほんの一握りですからね。


 

合格率から単純計算すると、1次合格率20%×2次合格率20%で4%となるので、やはり1年で合格する方は非常に少ないことが予測されます。

 

また、1年ストレート合格の難易度が高い理由として、1次試験合格しても2次試験まで約2ケ月間しかなく、2次試験対策の時間が足らないことが挙げられます。

 

読む力、文章を書く力が長けた受験生はすんなりと2次試験に対応できますが、大半の受験生は訓練しなければなりません。

 

こうした理由から、1年ストレート合格者は非常に少ないのではないかと考えられます。

 

1年目に1次試験に合格、2年目に2次試験に合格する人はたくさんいることからも、執筆メンバーによる「1年で中小企業診断士に合格する人は3%未満」という憶測はあながち間違いではないと思います。

 

 

 

中小企業診断士・科目別の難易度

ゆみ

 

科目別の難易度も紹介しておきたいな~


 

かず

 

人により得意・不得意があるから、科目別の難易度は表現しにくいけど...ざっくり紹介しましょうか。


 

税理士や行政書士、社労士といった他の資格は狭く深く学ぶ、一方、中小企業診断士の試験は広く浅く学ぶという特徴があります。

 

人により得意・不得意がありますし、科目ごとに難化する年と易化する年がありますが、科目別の難易度としては、以下の通りです。

 

1次試験・科目別の難易度

1次試験科目 難易度 勉強時間(目安) 特徴 同等レベルの資格・検定
経済学・経済政策 難しい 160時間 理解重視 経済学検定(EREミクロ・マクロ)
財務・会計 難しい 200時間 理解重視 日商簿記(2・3級)
企業経営理論 普通 180時間 理解重視 経営学検定(中級)
運営管理 普通 140時間 暗記重視 販売士検定(2・3級)
経営法務 普通 140時間 暗記重視 ビジネス実務法務検定(2・3級)
経営情報システム 易しい 100時間 暗記重視 情報処理技術者
中小企業経営・政策 易しい 80時間 暗記重視

 

たく

 

上記は、すべての科目を初学者を前提とした場合です。簿記2級をすでに持っているとか、経済学部出身とか、前提となる知識があれば、感じる難易度は違ってきます。


 

また、1次試験科目は毎年難易度が変化し、急激に難化する場合があります。いわゆる地雷科目です。

 

受験者平均70点で科目合格率80%で超易化した翌年に、受験者平均40点台で科目合格率5%に超難化することも、過去には起きています。

 

すべての科目で難化することはありません。地雷科目は毎年1~2科目です

 

中小企業診断士の1次試験には科目合格制度があるため、複数年受験を前提とした場合、難易度が低くなりそうに思える方もいるかもしれません。

 

しかし、科目免除を利用し絞って受験した科目の中に、急激に難化する地雷科目があった場合は、1次試験合格が非常に難しくなります。

 

こうした理由から、難化した科目で落とした点数を易化した科目の得点で補填することのできる7科目すべて受験する方がたくさんいるのです。

 

何はともあれ、一次試験は正しい勉強を続ければ必ず合格できる試験です。具体的な勉強方法は以下の記事で解説しているのでご覧ください。

 

 

 

2次試験・科目別の難易度

ゆみ

 

次は、2次試験の過去区別の難易度!


2次試験科目 難易度 勉強時間(目安) 特徴
事例1 普通 150時間 販促施策を書いてしまいそうになる
事例2 普通 100時間 助言の幅が広く、制約条件を見落とすと失点を招く
事例3 普通 100時間 深読みし過ぎると間違った方向性で回答しやすい
事例4 難しい 200時間 計算量が多くミスしやすい。2次試験最大の難関科目

 

一応、上記のようにまとめましたが、2次試験は科目別の難易度ではなく、事例1~3と事例4の2つに区分して対策するほうが適切です。

 

かず

 

事例1~3は、①与件文を読む力、②診断・助言を考える力、③字数制限内で的確かつわかりやすく書く力、です。


 

たく

 

事例4の財務会計は、①なにをどのように計算するか考える力、②正確に計算する力、ですね。


 

中小企業診断士の2次試験は、相対評価だと言われています。難易度が難化しようが易化しようが、結果的に上位20%にはいるかどうかで合否が決まるといっても過言ではありません。

 

 

 

中小企業診断士に合格する方法

 

ゆみ

 

中小企業診断士試験の難易度について、詳しく解説しましたが、いかがでしょうか?


 

中小企業診断士の難易度を、端的にいえば働きながらでも合格できるギリギリの難易度です。また、独学でも合格を目指せるギリギリの難易度です。

 

もちろん、資格予備校を使った方が合格しやすいのですが、独学でも目指せます。最後に、独学で勉強する方法と、資格予備校を使う場合のおすすめできるスクールを紹介します。

 

 

独学で合格する方法

中小企業診断士試験対策のテキスト、問題集、過去問はたくさん販売されています。まず市販教材を揃えましょう。

 

当サイトでおすすめのテキストや参考書を紹介しているので、参考にしてください。

 

 

そのうえで、試験制度をよく読み、自分で学習計画を立てましょう。勉強する順番については、「独学するときの順番。効率よく勉強できる順序」で詳しく解説しています。

 

計画を立てた後は、モチベーションを維持し、勉強し続けることが大切です。つまり、独学ではセルフマネジメントが必要不可欠なのです。

 

当サイトでは独学合格を目指せるように様々な勉強方法、コツについても紹介しています。独学で合格を目指す方は以下の記事を熟読ください。

 

 

 

おすすめの資格予備校

独学で勉強していく自信がなかったり、早く合格をしたい方は、資格予備校の利用がおすすめです。

 

特に、はじめれ受験する初学者の9割以上は、どこかの通学講座・通信講座を使っています。有力な資格予備校はそれぞれ詳しく紹介しています。

 

 

中小企業診断士講座は、一昔前までTAC一強の時代がありました。しかし近年TAC受講生の合格者数が半減しています。

 

1次・2次試験の対策では、スタディングや診断士ゼミナールを受講する受験生が増えています。3~5万円という安さもさることながら、合格率も大手予備校と肩を並べているからです。

 

2次対策専門校は、MMCやAASは受講料が高額ですが非常に高い合格率を誇るため今でも人気です。

 

資格予備校は3万円~35万円くらいと値幅はあるので、予算感にあった予備校を探しましょう。