経営情報システムの勉強方法/1次試験
中小企業診断士の1次試験科目「情報システム」の出題範囲や勉強方法、学習のコツについて解説します。
経営情報システムでは、情報技術に関する基本的な知識や、情報システムの経営への活用の方法などを学びます。
情報技術の基本から最新の技術の話まで、幅広く出題がありIT業界の方ではないととっつきづらい印象がありますが、経営への活用という視点が重視されるため、難易度の高い論点はあまり多くない点も特徴的です。
では、情報システムでは何を学べるのか、どのように勉強すべきなのか詳しく紹介していきましょう。
情報システムとは?
科目設置の目的
創業者、中小企業経営者に助言を行う際に、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識を身につける必要がある。
また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していることが求められる。
このため、企業の経営に関する法務について基本的な知識を判定する。
情報システムの配点
情報システムは中小企業診断士の1次試験の一つの科目で700点のうち100点を占めます。
1次科目 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
情報システムの出題範囲
- 情報処理の基礎技術
- 情報処理の形態と関連技術
- データベースとファイル
- 通信ネットワーク
- システム性能
- 経営戦略と情報システム
- 情報システムの開発
- 情報システムの運用管理
- 情報システムの評価
- 外部情報システム資源の活用
- 情報システムと意思決定
上記が、試験要項に記載されている「経営情報システム」の出題範囲です。大きく分けて、情報通信技術と経営情報管理といった2つの分野を学びます。
コンピュータの機能やプログラム言語の特徴などから通信ネットワークの基礎知識から、システムの開発管理・品質評価・運用といった情報管理が出題されます。
経営情報システムの難易度と傾向(概要)
経営情報システムは、合格率の平均はおよそ20%強と、他の科目に比べると科目合格者数が多いことに特徴があります。
しかし一問四点の問題が二十五題出題され、一問一問の問題の配点が大きいため、難問が多く出題された年には科目合格率が5%以下となることも多く、その年の問題に振り回される可能性が高い科目です。
経営情報システムを学習すると身につく知識
経営情報システムでは、情報技術に関する基礎知識と経営情報管理に関する知識を身につけることができます。
情報技術では、コンピューターが動く原理や、どのような装置で構成されているのかといった知識を学びます。具体的には二進法の基礎的な考え方や、どのようなプログラム言語が存在するか、どのようなハードウェアデバイスがあるか、といった知識の取得がメインになります。
また、経営情報管理では、経営の意思決定を行う上で必要なシステムやIT活用に必要不可欠なLAN、インターネットといったネットワークの仕組みを学ぶことができます。
このように、経営情報システムの学習では、中小企業から情報システムに関する相談があったときに、それに対応をするために最低限必要な知識を取得することができるといえるでしょう。
経営情報システムの基本教材
独学で勉強する場合かつ、まだ教材を選んでいない場合であれば、大手資格学校TACが出版している中小企業診断士の1次試験向けの教材が無難です。
TACの通学講座・通信講座で用いられている教材とほぼ同じ市販教材なのです。
テキスト
1次試験に必要な基礎知識が詰まったテキストです。
問題集
1次本試験や模試、答練試験で出題された過去問の中から、重要かつ良問だけを抜粋し、論点毎にまとめられた問題集です。
過去問集
中小企業診断士1次試験で出題された過去5年分の過去問と、解答解説がまとまった過去問集です。
経営情報システムの勉強方法
経営情報システムでは、単語の暗記と表の暗記がメインになります。
IT分野に元々強い方、弱い方で学習の進捗が大きく異なり、初学者の方やあまりITを使わない方が用語だけで状況をイメージするようになるには、かなり時間を要するため、暗記を中心に学習をすることが望ましいです。
一方で2次試験ではITに関する知識が必要となることもあるため、基本的な論点については、テキストを理解することも重要です。
初期
経営情報システムでは、三文字の英単語が頻出するため、それぞれの用語の意味合いを理解せずに暗記するとミスを起こしやすいです。そのため、テキストや予備校の授業でそれぞれの用語の意味等を整理して理解することが重要です。
また、統計学に関する問題も出題されるためその計算方法などを理解しておくことも重要です。
中盤
おおよその論点の用語の意味等が理解できたら、過去問を解き、出題傾向と自分の理解度などを確認することが有効です。
初期に過去問を解くことでもおおよその出題傾向を把握することができるため、推奨されることがありますが、経営情報システムでは、その時々の流行や国の政策が反映された難問も多い傾向にあります。
全体像をつかむ前に過去問を使い暗記を始めてしまうと難問対応のために労力を要することになってしまいます。
また、難問の多くは国の施策や最新技術への知見を求められることが有り、頻出論点になり得ないものも多いため、労力に対して実入りも少なく効果的ではありません。ですので、初期は言葉の意味や使われ方の理解に努め、その後過去問に取り組むことが有効です。
仕上げ段階
重要な論点などが間違いなく記憶できているか、複数の演習や模試を受験することでそのチェックを行う必要があります。また、統計学に関する問題については計算を間違いなく行えるか確認することも重要です。
経営情報システムの勉強のコツ
暗記が中心となる科目です。そのため、複雑な論点は図や表で整理して、まるごと暗記することが有効です。また、企業経営理論の内容を踏まえて学習に取り組むと効果的です。
もし、あまりにも難易度が高く感じる場合は、ITパスポートなどのITに関する基本的な資格を先に勉強すると、経営情報システムの理解が進みます。
なお、情報処理技術者試験の中でも、難易度の高いシステムアナリストやITストラテジスト又は技術士(情報工学部門)を取得していれば経営情報システムの免除資格を得ることができます.。
診断士の1次試験では全科目の合計点で合否の判定がされるため、高難易度の資格を取得しており、知識が十分にあるのであれば、科目免除申請をせず、得点源にしてしまい他の苦手科目の補填をした方が有効です。
頻出項目(頻出論点)
- 基本五台装置
- 記憶装置の種類(RAM、ROM等)
- 仮想記憶技術
- 暗号化
- プログラム言語
- 開発方法論
- 統計学
意外と重要な論点
毎年、2問程度統計学に関する問題が出題されます。得点にすると8点分ですが、計算科目は学習量が多く必要となるため、しっかりとした準備が必要です。
経営情報システムが苦手な方
基本テキスト、問題集、過去問の3点セットを用いて、しっかりと勉強することで1次試験に合格できるレベルには達します。
ただし、得意不得意は誰にでもあります。経営情報システムがどうしても苦手だという場合には、イラストでわかりやすく解説されている以下の書籍で理解を深めましょう。
中小企業診断士試験には全く関係のない書籍ですが、イラストで非常にわかりやすくIT用語が解説されています。
どうしても苦手を克服できない場合の対策
ネットで調べると1次試験は簡単に合格できる、とか、1年ストレートで合格しました!という情報がたくさんありますが、中小企業診断士試験の難易度は決して低くありません。
複数年受験を覚悟し、科目合格制度も上手く活用し、苦手科目も一歩一歩落ち着いてコマを進めることも大切です。
いやいや、手っ取り早く苦手科目を克服して、なるべく早く中小企業診断士になりたい!という場合は、独学にこだわり過ぎる必要はないと思います。
たとえば、中小企業診断士の1次試験対策講座ではもっとも有名かつ安定性のある「資格の学校TAC」のWeb講座を受講するのも一つの手段です。
7科目受講すると20万円以上しますが、1次単科生で情報システムのみ受講する場合であれば、4~5万円程度で受講することができます。
そのほか、「STUDYing(スタディング)」や「診断士ゼミナール」など、4~5万円程度で1次試験・2次試験対策ができる格安の通信講座もあります。
各講座の長所や短所は、以下の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。