2次試験対策/事例1の勉強方法(組織・人事)
2次試験の「事例1」の独学での勉強法について解説します。
事例1は他の事例問題と比べて、何を問われているか一番分かりにくく、多くの資格の学校の回答がバラける事例です。ただ、ポイントさえ掴めば60点以上はとることができる事例です。
この記事では、中小企業診断士2次試験の事例1の勉強方法や、解き方のコツについて紹介します。
事例1の試験対策
中小企業診断士2次試験の事例Ⅰは、組織・人事を中心とした経営分析・経営課題解決に関する事例です。
たとえば、外部環境が変化に伴い売上が低下し従業員のモラールも低下してきている。こんな時、組織管理の視点から何をすべきか、人事制度の視点から何をすべきか...などが問われます。
外部環境をしっかりと捉え、従業員のモラールも低下の要因を診断し、改善に向けた具体策を考えなればなりません。
事例1では何を問われるのか?
2次試験は事例ごとに明確にテーマがあります。事例1は、「人事・組織」に関する問題なので、どんな設問も「人事・組織」の視点から回答を書くのが合格の鍵です。
私も最初にこの話を聞いた時は、「そうなんだ~」くらいにしか思っていませんでしたが、やはり最も大切なことは「人事・組織という事を意識した回答を書くこと」です。これを意識するだけでも合格に近づくと思います。
理解していたつもりでも、設問に対してマーケティングや生産面からの視点で回答を書いてしまいがちです。
問題がそのように作られているので、間違えやすいです。強引にでも「人事・組織」に絡めた回答にすべきなのです。
設問例
下記のように、市場特性について基本的理解力や分析力、クライアントの課題発見力や、中小企業診断士としての助言能力を問われます。
A社は、当初、新しい分野のプラスチック成形事業を社内で行っていたが、その後、関連会社を設立し移管している。その理由として、どのようなことが考えられるか。120 字以内で述べよ。
A社および関連会社を含めた企業グループで、成果主義に基づく賃金制度を、あえて導入していない理由として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で述べよ。
事例1で出題される企業の課題(代表例)
- 昔はA商品が売れていたが、近年、A商品の売上低迷している。
- 今まで中途採用を中心としていたが、近年、新卒採用を検討している。
- 成果主義型賃金制度の導入を検討している。
過去問は、(一社)中小企業診断協会にて配布されていますので、ぜひ一度ご覧ください。
事例1の解き方(コツ)
やはり、「人事・組織」の問題という事を念頭に入れてから解きます。
例えば、「昔はA商品が売れていたが、近年、A商品の売上低迷している。その原因は何か。」という問いに対して、ついつい売上の低迷なので商品の事やマーケティングの事について書いてしまいがちになります。
ここで、もう一度「人事・組織」という事を思い出して回答を書けるかどうかがポイントになります。昔は売れていて、近年には売れていないという事は、何かしらの変化が生じていることが分かります。
その変化が回答になりますが、「人事・組織」面の変化として考えることを意識しましょう。私はいつも問題文の上に「人事・組織」と書いてから回答していました。
与件文の読み方
私は与件文を読むときにはSWOT(強み、弱み、脅威、機会)に下線を引きました。
特に強みは何かしらの設問の答えに使う可能性が多いので、最後に見直したときに使っていなければ、回答をもう一度検討してみた方が良いかと思います。
また、「なお」は要注意です。作者があえて付け加えていることなので何か意図があって記載している可能性が高いです。
事例1はとにかく深読みが必要になります。
読んでいて気になるところにも下線を引きました。唐突に出てきたことや書かれていなくては支障がないのに敢えて書かれていることなどです。
この辺は過去問を何題か解いていくうちにだんだん分かってくる感覚なので、まずは過去問を多く解いてみることをお勧めします。
設問分の読み解き方
事例1は与件文も大切ですが、設問の解釈も重要になります。
何について問われているのか、正確に把握しなくてはなりません。
当たり前かと思われるかもしれませんが、2次試験の勉強をはじめた当初は大半の方がぶつかる壁です。
例えば、「当社における成果主義について述べよ」とある場合には、単純に一般的な成果主義について述べるのではなく、その会社に絡めた成果主義について書かなくてはなりません。
「当社における」を読み飛ばしてしまうと回答の方向性が大きく変わってしまうので注意が必要です。
解答の書き方
与件文で下線を引いた強みをどの設問で使うのかを80分の中で考えて書き上げなくてはいけません。全て書いた後に書き換えるのはとても時間が無駄になってしまいます。
私の場合は、下線を引いた強みの横にどの設問で使うかをメモしました。そして、全体の質問と強みの関係性を確認してから書き始めました。
設問文を解釈し、与件文をじっくりと読んでから解答していたので、1問目に着手し始めるのが開始40分後くらいでした。
そして、回答の方向性が決まったら思い切って書き始めます。字数制限はありますが、事例1はキーワードを多く入れれば良いというわけではないので、そんなに解答欄が足りなくなることはありません。
足りない場合は多少言い回しなどで調整できます。これは演習などで練習すれば身につくと思います。
事例1の勉強方法
2次試験の勉強方法は、①とにかく過去問を解く、②いろんな人の回答と自分の回答を見比べることの2つです。
大手の学校がやっている演習問題は、過去問と比べて文章の書き方や設問の出し方など、少し異なります。
特に事例1は予件の作りが独特なので、本番の試験問題の文章に慣れておく必要があります。
おすすめとしては、各事例を続けて3年分解いてみることです。3年分連続して解くと癖が見えてきます。
与件文チェック
私は、勉強仲間5~6人で一つの事例について3時間くらいかけて分析していました。
事前にそれぞれ解いてきた回答を持ち寄って、一つずつ確認していきました。
予件について、一緒に読みながら、どこに下線を引いたかを確認しました。
勉強仲間と一緒に読み合わせをすると、自分では気づかない視点を持つことができるので、かなりお勧めです。
使いまわしのきくフレーズ
私が過去問や周りの人の回答と得点を見る限り、事例1はキーワードを多く埋め込めば点数が取れるということは無いと思います。
むしろ、見当はずれのキーワードが含まれていたら減点もあるのではないかと思っています。
多くのキーワードを盛り込んで纏まらないよりは、本命のキーワードについてしっかり書いた方が良いと思います。
その上で、テクニック的に使いまわしのきくフレーズは、「組織風土」「人事面では」「○○制度の導入」などが使えるフレーズだと思います。
このワードを入れれば「人事・組織」に対する回答からは外れにくくなります。
設問分析
過去問を何年分か解いたらそれを横並びで眺めてみると良いと思います。
似たような設問はありますが、主語に着目してどの立場からみた回答を書けば良いのかを分析する必要があります。「経営の視点」「社長の視点」「部長の視点」「現場の視点」など色々とあります。
また、良い面だけでなく、悪い面も合わせて書くなど、設問によっては両面書かなくてはならないものもあるので注意が必要です。
最後に
1次試験は暗記が中心ですが、2次試験は読解力や記述する力必要になり、勉強方法が大きく異なります。
ある程度まとまった時間をとって取り組まなくてはならないので、慣れるまでは大変ですが、1次試験が終了した後に、いかに早く切り替えて勉強ペースを掴めるかがポイントです。
そして、勉強仲間も大切です。是非、お互い刺激し合えるような仲間と一緒に勉強してください。